グインサーガ 一区切り

38巻『クリスタルの婚礼』まで読みました。
個人的な想いですがこの巻でパロ奪還編後から始まった物語が、一区切りついた感じがします。
次巻からまた新しい章が始まるようですが、その前にちょっと自分なりに登場人物を中心に物語を整理しておこうかなと。
ネタバレだらけなので、追記(続きを読む)で書きます。

物語
各章 概要 巻数
辺境編 グイン、イシュトヴァーン、レムス、リンダの4人を中心にノスフェラスでモンゴールの大軍を相手に立ちまわる、ヒロイックファンタジー 1〜5
パロ奪還編 前章の4人がアルゴスへ着くまで、ナリスさま、スカールを中心にした政治色の濃い陰謀劇 6〜16
ケイロニア陰謀編 傭兵としてケイロニアに雇われたグインの、ケイロニア王暗殺を廻る陰謀劇、あとスカールのノスフェラス放浪記 17〜23
モンゴール奪還編 イシュトヴァーンの国盗り物語&劇中一の苦労人アムネリスの恋物語、あとグインのユラニア強引訪問記 24〜33
パロ恋愛編 ナリスさま、リンダの恋物語 34〜37
パロ奪還編後の登場人物のその後
人物名 概要
グイン ケイロニアの将軍
イシュトヴァーン モンゴールの将軍
レムス パロ国王
リンダ クリスタル公妃
ナリス クリスタル公、摂政、宰相
アムネリス モンゴール大公、イシュトヴァーンにお熱
スカール ノスフェラスで患った病を理由に帰還後、アルゴス太子の座を捨てる
アストリアス 鉄仮面?

それぞれ落ち着くべきところに落ち着いた感じでしょうか。
鉄仮面 = アストリアスだと思っていますが、いつどこで再登場するんでしょうかね?

雑感

退屈なケイロニアの茶番劇で挫折しそうになりましたが、スポットがイシュトヴァーンに代わってからはまた面白く、そして派手なイシュトヴァーンに代わって今度は静かなナリスさまの色恋劇にまた夢中になって読んでます。この辺の動と静といった感じの物語の運びが非常に対称的で面白い。
パロの登場人物たちが、何を考えているか分からないナリスさま、悲しみに暮れ辺境編の元気いっぱいな姿はどこへやらの鬱屈とした雰囲気のリンダ、聡明な美少年が神経質な痩せすぎた骸骨のような青年になってしまったレムスと、華やかな外見とは裏腹になんだかすっかり老成してしまったなーと感じていたんですが、リンダは元の好奇心旺盛な少女に、レムスも妻を娶ってまた元の物静かな少年に戻りそうな気配、そしてナリスさまですが。
個人的にもっとも意外だったのが、ナリスさまの内面・本心がこれほど事細かく描かれるとは思っておらず驚いています。この世の神秘をすべて解き明かしたい、この目で見てみたいという『目的』はこれまでに語られていたのですが、パロ恋愛編でリンダを相手にその本心を明かします。
常に周りから聡明で美しい『アルド・ナリス』像を求められ、そのように演じなくてはならなかった。
思いを寄せるリンダはイシュトヴァーンに夢中で、彼女もまた『聡明で美しいアルド・ナリスにいさま』をナリスに求め、にいさまと呼ばれるたびに深く絶望するナリス。在野の知識人を集めてみても、身分を超えて同じ学問の徒として忌憚なく意見を交わしたいと願うナリスに対し、どこまでも畏敬の念をもって『身分違いなのに気さくに接してくださる摂政さま』としてしか接してもらえず。
弟ディーンは去り、自分と似たところを感じたイシュトヴァーンも去り、思いを寄せるリンダも……と、望んだ人々はみんな去っていき、孤独感は強くなり、それに慣れ、その孤独な様を知られ同情されることを嫌って本当は少年のように好奇心旺盛な本心は隠し、みんなが求めるナリスさまを演ずる日々。
そんなナリスさまでしたが、ようやくリンダが気づいてくれてあるがままのアルド・ナリスを受け入れてくれ、学問側でもヴァラキアのヨナ(恐らくイシュトヴァーンの幼なじみ)という自分と似たような考えを持ち、臆せず対等に接してくれるという二人のパートナーを得て、ようやく孤独から解放された……されたんだけど、あまりに孤独に慣れすぎてその幸せを享受することを怖がる……くぅ〜、たまんないね。
グインサーガ全体的な感想としては、ずっと初期の辺境編で魅せられたヒロイックファンタジーに戻ってくれることを願っていましたが、パロ恋愛劇まで読んだ今、ああこの路線もいいねって思うようになりました。劇中では辺境編から2年の歳月が流れており、4人はそれぞれ別々の道を歩み、リンダとイシュトヴァーンは結ばれることなく終わりました。ノスフェラスでの出来事は若かった4人のなんというか青春の輝きというか劇中の言葉を借りるなら『蜃気楼が見せた夢』だった。うまく表現できないけど『劇中の歳月が流れていく様子、登場人物たちが変わっていく様子』を見るのが今は楽しいんです。キレノア大陸の世界観、語られる群雄劇にどっぷりです。
ただひとつグインだけあまりに異質(グイン以外はキレノア大陸の世界の出来事、グインの場合は彼の正体、宇宙規模の話になっちゃう)で、彼が出てくると何事も『すべてグインの思惑通り』という感じにあっさり収まってしまって、ちょっとだけ白けるのでなるべくグイン以外にスポットが当たるといいなーと。いや、グイン自体は日々人間らしくなっていって好きなキャラクターなんですけどね。
次の38巻『虹の道』から、また物語は新たな運びになりそうです。
ナリスさまとリンダの婚礼にケイロニア代表としてグインが来るようなので、個人的にグインに対抗できそうなのはナリスさまだけ、グインとナリスさまが出会うところがグインサーガ全体のピークになるんじゃないかと思っているので楽しみです。

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