【読感】葬送のフリーレン
すっかり漫画を読む機会がなくなってしまったのですが、詩的なタイトルに惹かれて読んだ葬送のフリーレンの感想です。
※2巻までしか読んでいません。無料公開されている1〜2話の会話中心の簡単なあらすじとその感想。作品全体に関する思ったことをつらつらと書いています。
引用元:サンデーうぇぶり(SUNDAY WEB EVERY)
登場キャラクター
ヒンメルとハイターは人間。アイゼンはドワーフ。フリーレンはエルフ。
プロローグ
第1話 冒険の終わり
10年かけて魔王を倒した勇者パーティーは50年に一度の流星群を眺めて解散。
フリーレン「じゃあ次。50年後。もっと綺麗に見える場所知ってるから、案内するよ」
ヒンメル「…ふふっ」
フリーレン「何?」
ヒンメル「…いや、なんでもない。そうだな、皆で見よう」
100年くらい中央諸国を巡って魔法の収集を続ける。「たまには顔を見せるよ」と言って別れるフリーレン。
…50年後…
すっかり老いた仲間たちとの再会。フリーレンはそのまま。約束通り4人で流星群を眺めに行く。
ヒンメル「何もかもが新鮮で煌めいて見えた。その美しい思い出の中にはいつも仲間(きみ)達がいた。僕はね、全員が揃うこの日を待ち望んでいたんだ。ありがとうフリーレン。君のおかげで最後にとても楽しい冒険ができた」
ヒンメルは老衰でこの世を去る。
大勢の人が集まる葬儀の中、悲しい顔一つしないフリーレンに薄情だと呟く住民。
フリーレン「…だって私、この人の事何も知らないし…。たった10年一緒に旅しただけだし……人間の寿命は短いって分かっていたのに……なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう…」
涙を流すフリーレン。
ハイター「二人とも顔をよく見せて。これで最後になるでしょうからね」
ハイターと別れ、また魔法収集の旅へ戻るのかとアイゼンに問われるフリーレン。
フリーレン「うん。それもあるけど、私はもっと人間を知ろうと思う」
前衛としてついて来てほしいと頼むフリーレン。もう斧を振れるような年じゃないと断るアイゼン。
フリーレン「じゃあ、またね。アイゼン」
アイゼン「ああ。また」
読感
フリーレンが仲間を看取る。それでタイトルが葬送のフリーレンなんですね。寿命が大きく離れる異種族間交流のお話は個人的にトライガン以来です。
僧侶の嘘
…ヒンメルの死から20年後…
ハイターの墓参りに来たフリーレン。
ハイター「フリーレン、何故私のところに?」
生きていたハイター。
フリーレン「聖都での買い出しのついでだよ。旅先で会う人とはなるべく関わるようにしているからね」
ハイターにはたくさん借りがあるから死なれる前に返しに来たと言うフリーレンに、戦災孤児として引き取ったフェルンを魔法使いの弟子として一緒に連れて行ってほしいと頼むハイター。
足手まといになる。実戦での見習い魔法使いは死にやすい。友人から預かった子を死地に送るつもりはないと断るフリーレン。
代わりに死者の蘇生や不死の魔法が記された古文書の解読を依頼する。死ぬのが怖くなったのかと問うフリーレン。仲間たちの手前格好をつけていた。前より死ぬのが怖くなったと答えるハイター。解読の片手間で構わないからフェルンに魔法を教えてほしいとも頼むハイター。
魔法使いとして卓越した素質を持つフェルン。しかし、正しい魔法の使い方は知らなかった。
フリーレン「ねえ、先にひとつ聞いていい?魔法は好き?」
フェルン「ほどほどでございます」
フリーレン「私と同じだ」
…4年後…
フェルンの修行は順調だが、一人前になるのはまだ先のこと。そんな折、ハイターが倒れる。修行の中止を告げるフリーレン、拒むフェルン。
ハイターはずっと自分を置いて死ぬことを危惧していた。魔法使いでもなんでもいいから、一人で生きていく術を身につけて自分を救ってくれたことは正しい行いだった。もう大丈夫だと思ってほしい。
古文書の解読が終わったが死者の蘇生も不死の魔法も書かれていなかった。フェルンは一人前になったのでもう足手まといではなくなった。計られたことに気づくフリーレン。
フェルンにこれ以上誰かを失うような経験をさせたくないと旅立ちを促すハイター。フェルンはとっくに別れの準備はできている。しっかりと別れを告げて、なるべくたくさんの思い出を作ってやれと言うフリーレン。
フリーレン「ねぇ、なんでフェルンを救ったの?」
ハイター「勇者ヒンメルならそうしました」
フリーレン「そうだね。じゃあ、私もそうするとするかな」
ハイターを看取ってフェルンと旅立つフリーレン。
読感
相変わらず一人旅のフリーレン。旅先で会う人とはなるべく関わるようにしているとのことですが、あくまで路銀稼ぎと魔法収集に過ぎないのかも。ハイターの末期の願いも察せられなかったりとエルフと人間との習慣・価値観のズレが思ったより大きく感じます。
作品全体の感想(2巻まで)
旅の目的
かつてヒンメルたちに救われた人たちの話を聞くことで、彼らのことを知ろうということなのでしょう。
知りたい ≠ もう一度会いたいですか。目的地としては死者との会話ができるというオレオール(魂の眠る地)になります。場所は元魔王城の近く。
作品内での時間の経過
ヒンメルの死から28年、魔王討伐からは80年以上の月日が経過しています。
習慣付けと言っては身も蓋もないですが、祭事が特定の誰かや出来事の記念だけではなく、意識して思い出す日という側面もあるという認識はありませんでした。なるほど。
エルフ
フリーレンはすでに1000年以上生きています。彼女によると”エルフは長寿だが、恋愛感情や生殖本能みたいなものが軒並み欠落している。緩やかに絶滅している。”
ヒンメルやハイターと死別した後も、
寿命が違いすぎて時間間隔は共有できそうにないです。
それでも、ヒンメル達だけじゃなく今一緒に旅しているフェリルの事を知ろうとしたり、彼女たちへの時間を気にしたりと少しずつ変化はしているようです。
個人的に特に心に残ったシーン
フェリルから魔法を集める理由を聞かれて答えるフリーレン。エルフという種族自体の特性なのかもしれませんが、ノブレス・オブリージュや自己犠牲・献身とも違うし、合理的すぎるわけでもない。相手のことを知ろうとは思っても、自分のことを知ってもらいたいという欲求自体がない。それはとても楽な生き方なのかもしれません。
村人に自画像をよく作ってもらう理由をヒンメルが答えたシーン。自分のことを覚えていてほしいという願望も少しはあるのでしょうけど、とても優しい考えですね。
フリーレンがヒンメルの事を知ろうとする理由は、自分が何故泣いてしまったのかの疑問に対する知的探究心に過ぎないのかもしれませんが、変わったフリーレンをヒンメルに見てほしいです。
消費コンテンツではなく作品としてじっくり読みたいので、私は2巻までで一旦読むのをやめて完結後に一気読みしたいと思います。
補足
誤解を招くといけないので書いておきますが、葬送のフリーレンはシリアス一辺倒というわけではありません。
この記事へのコメントはありません。