報われぬ努力

毎月1冊づつ刊行されている『からくりサーカス完全版』も15巻目になりました。
サハラ砂漠でのしろがねVS自動人形の死闘、正二の過去の回想を経てついに黒幕『白金(パイジン、フェイスレス、貞義)』の企みが明らかになって最高に盛り上がったところで、次巻からは問題の黒賀村編です。。
うーん、当時のセシが読むのやめちゃうわけです。
ここから単行本で2巻くらいほのぼのぎくしゃくな展開が続くんですよね。。黒賀村で出てくる新キャラは最終決戦にあまり関わらないのでなおさらなんだかなーと。。まあ、今回は最終巻まで買い続けると思いますが、それは置いといて本題へ。

大人になると悪役(かたきやく)のほうに魅力を感じてしまうのは何故だろう?

事の善悪は置いといてストーリー物の悪役って結構努力家だと思うんですよね。
例えばこのからくりサーカスの場合、白金は『1人の女性に愛してもらいたい』という目的のために240年もの長い間、あれこれ努力し続けます。しかし彼の努力も虚しくフランシーヌは白銀を、アンジェリーナは正二を選んでしまいます。前から彼女たちに好かれるために努力していた白金よりも、後から出てきた男たちに取られてしまうわけです。(もちろん肝心なのはフランシーヌたちの気持ちがどちらに注がれたかだと思いますが)
そんな失敗にもめげず、彼は次の計画に移ります。
ネタバレしてしまうのですが、アンジェリーナの娘でありフランシーヌの記憶も受け継いでいる(フランシーヌ人形に植毛されていた本物のフランシーヌの髪の毛が記憶・経験を受け継がせる生命の水に溶けたため)エレオノールを次のフランシーヌとし、
・正二に変装してエレオノールに『勝』を守らせる使命(生きる目的)を与える
・その勝に自分の記憶、性格をダウンロードし成り代わる
これまた何十年もかけて(勝が生まれる前から)計画を練り実行に移していくわけですが、最終巻きちんと読んだことがないので詳しくは知らないですが勝という才能の前に彼の夢はまたしても潰えてしまうようです。
もうひとつ例を。
JRPGなんかでよく世界征服を企む悪役が描かれますが、彼らもほとんど例外なく長年努力して征服に挑みますが、その長年の努力がぽっと出の主人公側のせいぜい数ヶ月の努力で覆されてしまうのがなんとも悲しい。。征服するのと阻止するのではどちらが難しいか言うまでもなく征服する方です。戦争ものを例にすると征服側は世界のすべて(数十ヶ国)と戦わないといけないのに対し、阻止する方は一国を倒せばいいだけですからね(連合とかは置いといて)
まあ、その辺は話がずれちゃうので話を戻して結局
『才能>>>>>>努力』
大人になれば嫌でもわかるこの真理を現実から離れてゲームなどをしている時に見せつけられてしまう、これが大人がJRPGや少年漫画などのストーリーに共感できなくなってしまう理由の一つなんじゃないかなと思うわけです。
つまり、子供の頃は自分に無限の才能があると思えるから主人公たちに強く共感できるが、大人になると自分の才能の限界をしり、努力しているほう(悪役)が報われてほしいと願うようになるということ。
そういった意味でやはり大人になるとストーリー物は卒業するべきなんでしょうね~。
なかなか悪役の願いが成就されるという作品は少ないのですが、セシの好きな漫画の一つ『封神演義』では、珍しくそれが叶ったような気がします。
黒幕の女禍の『地球を故郷の星とまったく同じ歴史、環境にして滅ばなかったらどうなっていたのかを見てみたい』という願いは、これまた数十年かけた太公望(というか伏犠)によって阻まれてしまいましたが、妲己はそんな二人を差し置いて自分の願い『始祖と同じように女禍の肉体を使って地球と融合する』ことに成功します。そんなこともあり容姿や序盤のやりたい放題な有り様も含めて大好きなキャラクターです。
あとは『TRIGUN』でしょうかね。
ナイブズの野望はヴァッシュに阻まれしまいましたが、この二人はスタートラインは一緒で同じ時を生きて互いの目的のために努力し続けての決着だったため、とっても満足しています。
今読んでいる漫画の中では『ZETMAN』がどういう決着になるのかが楽しみですね。
長年計画を進めてきたEVOLが願いを達成させることは残念ながらなさそうですが、ジンとコウガは子供時代から学生、青年まで描かれているのでどういう決着になるにせよ納得できそう。
ここまで書いてどうして鉄腕バーディーで氷川 省吾が好きだったのかようやく分かりました。
彼もまた長年努力して夢というか野望を叶えようとした良いキャラクターでしたよね。
すべての努力家な悪役たちの願いが成就されることを祈りつつ、才能もなく努力も大嫌いなセシは仕事に戻りますヽ(´ー`)ノ

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